筋疲労の原因⑵
こんにちは!
今回は前回に引き続き、筋疲労の原因について考察していきます。
前回は、神経系による筋疲労の原因についてまとめましたが、
今回は、筋肉を使った時に身体の中でどんなことが起きているのかに
ついてお話ししていきます!
1.ATP
以前の投稿でヒトが身体を動かす時のエネルギーはATPから得られるとご紹介しました。
筋繊維におけるATPの濃度が低下すると、筋の収縮に大きな影響を与えます。
しかし、ヒトに疲労困憊になるまで運動を行わせたとしても、筋内のATPの濃度は20〜25%以上減少しないと言うことがわかっています。
また、この程度のATP濃度の減少によって筋の活動に支障をきたすことはありません。
したがって、筋疲労の原因はATP濃度の低下には考えられません。
2.水素イオン濃度
強度の高い運動を行うと、ATPを再合成するために解糖系の代謝が高まり、乳酸が生成されます。乳酸は溶液中では、水素イオンを放出するため、細胞内のpHが低下します。
この現象を乳酸性アシドーシスと言います。この時、筋繊維内のpHは安静時では7.0~7.1に保たれているが、6.4近くまで低下します。
これまで、この乳酸性アシドーシスが筋疲労の主な原因と考えられていたが、近年の研究によって、これは誤りであることが指摘されています。
従来は、正確な研究データを得るために、体温よりもかなり低い温度で実験が行われてきましたが、研究手法の発達により、温度を高くしても正確にデータが得られるようになりました。
その結果、筋の張力や収縮速度はほとんど変化しないと言うことがわかりました。
3.無機リン酸
筋繊維の収縮や弛緩は、細胞内のカルシウム濃度によってコントロールされています。
筋肉が弛緩しているときは、カルシウム濃度は低く、収縮するときはカルシウム濃度が高まります。
このとき、何らかの理由によりカルシウム濃度が高まらないと、筋の収縮がうまく起こらなくなってしまいます。
筋細胞内の無機リン酸の濃度は強度の高い運動を行うと急激に高まります。
これは、クレアチンリン酸回路が動作し、クレアチンリン酸がクレアチンとリンに分解されるためである。
リンは、カルシウムと結合しやすい性質を持っていることから、強度の高い運動を行うと、リンとカルシウムが結合し、カルシウム濃度が高まらなくなります。
このような現象が筋疲労の原因と考えられています。
4.グリコーゲン
ここまで考えてきたのは、強度の高い運動である。
一方でそこまで強度の高くない運動について考える。
中強度の運動では、筋繊維内のリンの濃度はほとんど変化しない。
骨格筋には、100gあたり1.5~2.0gのグリコーゲンが含まれている。持久的な運動を行うと、時間とともに筋肉を分解しグリコーゲンをエネルギーとして用いる。
グリコーゲンが枯渇すると、運動を行うことが不可能となるため、
中強度の運動では筋グリコーゲンの枯渇が筋疲労の原因と考えられます。
5.活性酸素
活性酸素は、通常の酸素よりも反応性の高い酸素化合物の総称である。
細胞内には、活性酸素を処理する抗酸化機能が備わっているが、激しい運動により活性酸素の生成速度が高まると、抗酸化機能を上回ってしまいます。
残ってしまった活性酸素は収縮に重要な役割を果たすたんぱく質を酸化させ、その機能を低下させます。
このことが筋疲労の原因と考えられます。
今回は、ヒトの身体の中で起きていることから筋疲労の原因について考察してきました。
疲労回復のポイントとしては、クールダウンをしっかりと行い、栄養補給を行うという基本的なことになりますが、これが大切になってきますので意識してやっていきましょう!
今回は以上となります!