体温調節のしくみ(2)
こんにちは。
今回は前回に引き続き、体温調節の仕組みについてご紹介します。
前回は、熱の移動の仕方や体温調節の主な仕組みについてまとめました。
今回は、運動時における体温調節や水分補給について考察していきます!
1.運動時の体温調節
a.高温時における運動
運動によって体内で産生される熱は、ほとんどが汗の蒸発によって体外へと放出される。
実は、運動を開始してから発汗をするまでの時間は極めて短く、
気温が高く、運動前からある程度発汗がある程度ある場合には、2秒程度で汗の分泌が起こるのです。
高音の環境で、強度の高い運動をすると、多いときには1時間で1000mL〜2000mLの汗が体外へと出ます。
さらに、湿度が高い環境だと、通常よりも発汗しにくくなるため、体温がなかなか下がらず危険な状態に陥ることもあります。
暑熱環境では、循環器の機能にもマイナスの影響を与えます。体内の熱を放出するために、皮膚血流量が増加します。
すると、大静脈を通って、心臓に戻る血液量が減少するため心臓は十分に拡張することができない。
その結果、筋への血流量の低下へと繋がり、作業能力の低下の原因となります。
b.寒冷下での運動
寒冷下では、身体の大きさおよび組成も熱放出に大きく影響します。
身体の大きさによって熱放出量が変化するのは、表面積と体積の関係が変化するためである。
意外にも、体重に対する体積の比は、子供よりも成人の方が小さくなる。つなり身体が大きいほど、熱を放出しにくくなります。
また、脂肪は他の細胞と比べ、熱の伝導度が低く、身体の大きさが同じであれば、脂肪量が多い方が寒冷下においては、体温が低下しにくくなります。
寒冷環境においては、筋の震えが起こることや、筋温が十分に上がらないことから
作業能力は低下します。
2.熱中症
a.熱中症の分類
熱中症とは、暑熱環境において身体の適応能力に障害が起こり、それが原因で現れる症状を総称して言います。
発汗に対して、水分や塩分の補給が不足した場合に発症し、熱失神、熱痙攣、熱疲労、熱射病の4つに分類されます。
熱疲労および熱射病は重症度が高く危険な状態であります。
熱疲労の症状としては、体温の上昇に加え、激しい口の渇き、頭痛、嘔吐、下痢などの症状が現れます。
熱射病では、さらに体温が上昇し、意識障害が見られることもあります。
熱中症を発症した時は、涼しい場所で側臥位となり、水分および塩分を補給します。
体温が上昇している場合には、いかに早く体温を下げるかが重要であり、場合によっては病院へと救急搬送する必要があるので注意しなければならない。
b.水分補給
水分補給は、発汗量に対しておよそ80%の量を補給することを目安にし、運動前に250~500mL、運動中にも250mL~500mLの水分を摂取するよう勤めると予防効果が高くなります。
発汗により、水分だけでなく塩分も排出されます。
体重の2%を超えるような大量の発汗時に水分だけを補給すると、血液が水分で希釈されてしまい、血中塩分濃度が低下します。
すると、血中塩分濃度を一定に保つために、利尿が起こり水分補給の効果が薄まってしまいます。
そのため、自発的脱水と呼ばれるこのような現象を予防するために、0.1~0.2%の食塩を含んだ飲料水を補給すると良いとされています。
また、長時間運動する場合には、エネルギーもかなり消費されるため、4~8%の糖質を含んだ飲料水を摂取するとより効果的になります。
以上で、運動時における体温調節と水分補給についてまとめてきました。
水分補給は、運動のパフォーマンスにおいて大きな影響を与えますので、しっかり補給していきましょう!
今回は以上となります!